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C言語入門講座

【C/C++】ファイル分割(ヘッダファイルの作り方、変数・構造体の書き方)

おゆ

組み込み系プログラマとして5年働いていた元エンジニアです。得意言語はC言語とC++。本サイトでは学生および新人組み込み系プログラマに向けてプログラミング知識をわかりやすく解説しています。

プログラムが大きくなると1つのファイルだけでは管理しにくくなります。

そんなときはソースファイルを関連する機能別にファイルに分割して保存すると管理が楽です。

このファイル分割時に作るのがヘッダファイルです。

実務で使うような大きなプログラムは複数のヘッダファイルとソースファイルで構成されています。

ヘッダファイルとは宣言を記したファイル

プログラムが数百行に及んでくるとこんな悩みが出てきます。

コードが長くて見づらい…関数やグローバル変数を機能ごとに分類したい…
コンパイルに時間が掛かるようになってきた…必要な部分だけをコンパイルしたい…

これらはコードを別ファイルに分割すれば解決できます。

具体的には分割したい変数や関数などをヘッダファイルと別のソースファイルに移動します。
ヘッダファイルとは

ヘッダファイルhead.hには移動したい変数や関数などの宣言を、ソースファイルclac.cにはそれらの定義を書きます。

ファイル分割することで機能ごとにファイルを分けたり、必要なファイルだけをコンパイル対象にしたりと管理しやすくなります。

ヘッダファイルの作り方・コンパイル方法

例として構造体、グローバル変数、関数を持つ以下のソースファイルを分割してみます。

例1:

ソースファイル「main.c」

#include <stdio.h>
//グローバル変数
int NUM=1;
//構造体
typedef struct
{
    int id;
    char name[30];
}person;
//関数
int plus(int x, int y)
{
    if(NUM==1) return x+y;
    else return -1;
}

void main()
{
    printf("NUM=%d\n",NUM);
    person sato={0,"Sato Hiroyuki"};
    printf("ID=%d, Name=%s\n",sato.id,sato.name);
    printf("3+2=%d\n",plus(3,2));
}

実行結果

NUM=1
ID=0, Name=Sato Hiroyuki
3+2=5

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おゆ
本来、この程度のコードなら分割する必要はありませんが、わかりやすいようにシンプルなコードにしました。

Step1 関数のプロトタイプ宣言を作る

まずは分割したい関数のプロトタイプ宣言を作っておきます。

例2:

ソースファイル「main.c」

#include <stdio.h>
//グローバル変数
int NUM=1;
//構造体
typedef struct
{
    int id;
    char name[30];
}person;
//プロトタイプ宣言
int plus(int x, int y);

void main()
{
    printf("NUM=%d\n",NUM);
    person sato={0,"Sato Hiroyuki"};
    printf("ID=%d, Name=%s\n",sato.id,sato.name);
    printf("3+2=%d\n",plus(3,2));
}

//関数の定義
int plus(int x, int y)
{
    if(NUM==1) return x+y;
    else return -1;
}

実行結果

NUM=1
ID=0, Name=Sato Hiroyuki
3+2=5

Step2 ヘッダファイルを作る

ヘッダファイルを新たに作り、構造体と関数のプロトタイプ宣言を移動します。

加えてグローバル変数のextern宣言も書いておきます。

グローバル変数の定義はソースファイルに残します。

参考【C/C++】externとは?関数・変数・配列・構造体との使い方

複数のソースファイルで共通のグローバル変数を使いたい時に利用されるのがexternです。 通常、変数は宣言と定義が同時に行われますが、externを使うと定義は行わずに宣言だけを行えます。 exter ...

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例3:

ソースファイル「main.c」

#include <stdio.h>
#include "head.h"
//グローバル変数の定義
int NUM=1;

void main()
{
    printf("NUM=%d\n",NUM);
    person sato={0,"Sato Hiroyuki"};
    printf("ID=%d, Name=%s\n",sato.id,sato.name);
    printf("3+2=%d\n",plus(3,2));
}

//関数の定義
int plus(int x, int y)
{
    if(NUM==1) return x+y;
    else return -1;
}

ヘッダファイル「head.h」

//グローバル変数のextern宣言
extern int NUM=1;
//構造体の宣言
typedef struct
{
    int id;
    char name[30];
}person;
//プロトタイプ宣言
int plus(int x, int y);

ヘッダファイルには宣言だけを記述し、拡張子を「.h」にしてソースファイルと同じフォルダに保存しておきます。

printfなどの関数は使わないので「#include <stdio.h>」を書く必要はありません。

ソースファイルの先頭には「#include "ヘッダファイル名"」と書き、どのヘッダファイルを使うのか明らかにしておきます。

stdio.hのような標準ヘッダと違って自作のヘッダファイル名はダブルクォーテーション(")で囲います。

Step3 インクルードガードを記述

ヘッダファイルは複数のファイルでインクルードされ、何度も実行されることが多いです。

すると同じ宣言が何度も実行され、コンパイルエラーになることがあります。

これを防ぐためにヘッダファイルにはインクルードガードのためのマクロを書きます。

インクルードガードの書き方

#ifndef マクロ名
#define マクロ名
プロトタイプ宣言、extern宣言など
#endif

マクロ名はすべて大文字で「ヘッダファイル名(拡張子なし)_H」のように付けることが多いです。

例4:

ヘッダファイル「head.h」

#ifndef HEAD_H
#define HEAD_H

//グローバル変数のextern宣言
extern int NUM=1;
//構造体の宣言
typedef struct
{
    int id;
    char name[30];
}person;
//プロトタイプ宣言
int plus(int x, int y);

#endif

最初にヘッダファイルを実行したときはHEAD_Hが定義されていないので、if文内の処理を実行します。

次にヘッダファイルを実行した時は「#define HEAD_H」でHEAD_Hが定義されているので、if文には入りません。

よってif文の中身は一度しか実行されないようになっています。

Step4 ソースファイルをもう1つ作る

この時点ではまだmain.cにグローバル変数と関数の定義が残っています。

これらは別途ソースファイルcalc.cを作ってそちらに移動します。

おゆ
何の定義をどのソースァイルに書くのかは自由に決められます。

例3:

ソースファイル「main.c」

#include <stdio.h>
#include "head.h"
void main()
{
    printf("NUM=%d\n",NUM);
    person sato={0,"Sato Hiroyuki"};
    printf("ID=%d, Name=%s\n",sato.id,sato.name);
    printf("3+2=%d\n",plus(3,2));
}

ヘッダファイル「head.h」

#ifndef HEAD_H
#define HEAD_H

//グローバル変数のextern宣言
extern int NUM;
//構造体
typedef struct
{
    int id;
    char name[30];
}person;
//プロトタイプ宣言
int plus(int x, int y);

#endif

ソースファイル「calc.c」

#include "head.h"
//グローバル変数の定義
int NUM=1;

//関数の定義
int plus(int x, int y)
{
    if(NUM==1) return x+y;
    else return -1;
}

新しく作ったソースファイルcalc.cの先頭にも「#include "head.h"」を書いておきます。

calc.cではprintfなどの標準ライブラリ関数を使わないので「#include <stdio.h>」は書かなくて大丈夫です。

Step5 ファイルをまとめてコンパイル

作成したすべてのファイルをまとめてコンパイルします。

しかし従来の方法では複数ファイルをまとめてコンパイルできないので、方法を以下で解説します。

始めにターミナルのカレントディレクトリをソースファイルが保存されているフォルダにする方法を解説します。

まずターミナルに「cd 」(最後にスペースが入る)と打ち込みます。

ターミナルが出ていない場合は画面上部の「ターミナル」をクリックし、「新しいターミナル」をクリックして開きます。

次にソースファイルが保存してあるフォルダを開き、ソースファイルの1つをターミナル上にドラッグアンドドロップします。

すると以下のような状態になるので、最後の「\(ソースファイル名).c」だけを消します。
ディレクトリ移動

下のように「cd (ソースファイルがあるフォルダのアドレス)」となったらEnterキーを押します。
ディレクトリ移動

「>」の左にソースファイルのフォルダのパスが表示されれば成功です。
ディレクトリ移動

次にターミナルに以下のフォーマットでコマンドを入力します。

C言語(gcc)の場合:
gcc コンパイルしたいソースファイル名(複数の場合はスペース区切り) -o EXEファイルの名前(拡張子なし)

C++(g++)の場合:
g++ コンパイルしたいソースファイル名(複数の場合はスペース区切り) -o EXEファイルの名前(拡張子なし)

例えばコンパイルしたいソースファイルがmain.cとcalc.cで作りたいEXEファイル(実行ファイル)がmain.exeの場合は以下のように書きます。
コンパイル

ヘッダファイル名はソースファイル内でインクルードされているで、ここで改めて書く必要はありません。

入力できたらEnterキーを押します。

特にエラーが無ければメッセージは表示されません。

エラーが出たら修正して再度同じコマンドを入力してEnterを押します。

一度入力したコマンドはターミナルを選択した状態で↑キーを押すと再度表示されます。

コンパイルが完了するとソースファイルがあるディレクトリにEXEファイルが作られます。

Step6 EXEファイルを実行

コンパイルが終わったらターミナルに以下のフォーマットでコマンドを入力します。

./EXEファイル名

実行したいEXEファイルがmain.exeの場合は以下のように入力します。
実行

Enterを押すと実行結果が表示されます。

ファイル分割する前と同じ結果が得られれば成功です。

ヘッダファイルに変数定義を書いてはいけない

ヘッダファイルに変数定義を書くとコンパイルエラーの原因になります。

コンパイルすると1つのソースファイルあたり1つのオブジェクトファイルが作られます。このオブジェクトファイルをすべて統合(リンク)することでプログラムが作られます。

C言語、C++において定義はプログラム全体を通して一度しか書いてはいけないというルールがあります。

しかしヘッダファイルは複数のソースファイルにインクルードされるので、オブジェクトファイルには変数定義が書かれてしまいます。

インクルードガードが書いてあってもif文の結果によっては変数定義が実行できるよう、if文の中身が書かれてしまうのです。

するとリンク時に複数のオブジェクトファイルに同じ定義が書かれていることが発見されてエラーとなってしまいます。

おゆ
エラーが出るかどうかは実際に定義が実行される回数ではなく、オブジェクトファイルに定義が書かれる回数で決まるのです。

定義はソースファイルの内1つだけに書き、ヘッダファイルには変数のextern宣言を書きましょう。

ヘッダファイルにおける構造体の書き方

構造体の宣言はヘッダファイルに記述できます。

extern宣言を使えば構造体の定義も記述できます。

詳しくはこちらで解説しています。

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